8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~

 その夜、フィオナはドルフと作戦会議だ。
 紐編みの髪飾り作りをフィオナ主導でやるために、オスニエルから許可を取り付けなければならない。

「どうしよう。正直に言ったって、オスニエル様が了承するわけがないわ。私を困らせるのを楽しみにしてるんだもの」

『そうはいっても、言わなければ始まらないだろう。お前の駄目なところはそこだ。勇気を出せば済むことを、あーだこーだと理由をつけて諦めようとする』

 はっきり言われれば、確かにそうだと納得する。姫にしては冒険心も探求心もあるフィオナだが、それを人に伝えるのは苦手だ。幻滅されるのが怖い。聖獣の加護が得られなかったときの父の幻滅したような顔が思い出され、自分の気持ちを伝えるのが怖くなってしまうのだ。

「……要は、了承を取り付けられさえすればいいのよね」

『そうだな』

「酔わせてうんと言わせよう作戦はどうかしら。言質さえ取れれば、押し通すのは簡単じゃない?」

『……やれると思うならやってみろ』

 呆れたようにドルフがそっぽを向く。馬鹿にされているのをひしひしと感じるけれど、今のフィオナにはほかの手は思いつかなかった。
 フィオナはポリー経由でおいしいと評判のお酒を購入し、いつかやってくる御渡りをひたすらに待った。