フィオナのいら立ちは、最高潮に達していた。疲れてもいるので、感情の抑えがきかない。
バン、と机をたたき、立ち上がる。怒りのオーラを感じたのか、オスニエルは目を丸くして黙りこんでいる。
「私はあなたの言うとおりにしているはずです。もう黙っていただけます? ……今日はここで過ごすというなら、どうぞベッドをお使いください。私はソファで寝ますから」
「女にソファでなど寝かせられるか」
「平気です。私にはドルフがいますから温かいですし。殿下では足がはみ出ますでしょう? 私ならばサイズもちょうどですわ」
フィオナは足早に居間を歩き回り、いら立ちを鎮めようと努力した。
けれどもうまくいかない。殺されそうになったことも、これまでの人生でされた仕打ちまで思い出し、心が暴れ出しそうだ。
「フィオナ」
オロオロと差し出されたオスニエルの手を、ぎろりと睨んではたき返す。
「あなたは! 私が何をしたって気に入らないのでしょう。でしたら放っておいてくださいませ!」
フィオナはポリーを呼びつけ、お茶道具を片付けさせる。そして、毛布を持ち出そうと寝室へ入った。
追ってきたオスニエルは、彼女の手から毛布を奪った。背後に回られて、不覚にも彼の体の大きさを感じてドキリとする。だがうっかりときめいた顔など、絶対に見せたくない。
「お前がベッドで寝ろ」
オスニエルはそう言い、自分は居間に戻り、ソファに横になって毛布にくるまった。
フィオナはつかつかと近寄り、その体を毛布の上から軽く叩く。
「狭いでしょう! 意地を張らずにあなたがベッドをお使いください!」
「うるさい! もう寝るんだ。構うな!」
「……もうっ」
無性に悔しいフィオナは、ドルフを抱いたままベッドに突っ伏した。なにか言ったら泣き出してしまいそうな、危うい心地だったのだ。
バン、と机をたたき、立ち上がる。怒りのオーラを感じたのか、オスニエルは目を丸くして黙りこんでいる。
「私はあなたの言うとおりにしているはずです。もう黙っていただけます? ……今日はここで過ごすというなら、どうぞベッドをお使いください。私はソファで寝ますから」
「女にソファでなど寝かせられるか」
「平気です。私にはドルフがいますから温かいですし。殿下では足がはみ出ますでしょう? 私ならばサイズもちょうどですわ」
フィオナは足早に居間を歩き回り、いら立ちを鎮めようと努力した。
けれどもうまくいかない。殺されそうになったことも、これまでの人生でされた仕打ちまで思い出し、心が暴れ出しそうだ。
「フィオナ」
オロオロと差し出されたオスニエルの手を、ぎろりと睨んではたき返す。
「あなたは! 私が何をしたって気に入らないのでしょう。でしたら放っておいてくださいませ!」
フィオナはポリーを呼びつけ、お茶道具を片付けさせる。そして、毛布を持ち出そうと寝室へ入った。
追ってきたオスニエルは、彼女の手から毛布を奪った。背後に回られて、不覚にも彼の体の大きさを感じてドキリとする。だがうっかりときめいた顔など、絶対に見せたくない。
「お前がベッドで寝ろ」
オスニエルはそう言い、自分は居間に戻り、ソファに横になって毛布にくるまった。
フィオナはつかつかと近寄り、その体を毛布の上から軽く叩く。
「狭いでしょう! 意地を張らずにあなたがベッドをお使いください!」
「うるさい! もう寝るんだ。構うな!」
「……もうっ」
無性に悔しいフィオナは、ドルフを抱いたままベッドに突っ伏した。なにか言ったら泣き出してしまいそうな、危うい心地だったのだ。



