言いながら、針子は早速手を加えていく。ドルフが近づくと、彼の首輪を見て、頬を緩めた。
「かわいらしいワンちゃんですね。愛犬とお揃いというのもいいですわね」
ドルフはこの言葉に気をよくしたようで、尻尾をパタパタと揺らし始めた。
支度がすべて整うと、ドルフは机の上に飛びのり、フィオナを眺める。
『なかなか悪くないぞ。あとはその怯えた顔をやめることだな』
「そうはいっても」
腹を決めたとはいえ、いざ結婚式となれば緊張する。まして、相手は自分のことを疎ましく思っている人だ。
うつむいていると、頬にドルフの舌が触れる。
『お前は美しい。俺のペットなんだから胸を張ってろ』
「その理由で、胸を張れるとでも?」
思わず、声を出して笑ってしまう。すると緊張もほどけてきた。
『さすがに俺は式には行けないが。お前の身ぐらいは守ってやるから安心しろ』
「ありがとう、ドルフ」
ホッとしたのもつかの間、ポリーが「オスニエル様がお越しです」と告げた。再び、フィオナの体ががちがちに緊張する。
「準備はできたか」
入ってきたオスニエルも、礼装をしていた。彼は騎士としての側面が強いらしく、正装は白の騎士服だった。
(やっぱり格好いい)
フィオナの目は彼の騎士服姿にくぎ付けになる。彼に恋などする気はないが、見た目が好みなのは変えられない。
一方、彼はじろりとフィオナを見ると、黙りこくってしまった。
「あの、オスニエル様?」
「はっ、いや、式場に向かうぞ。新郎新婦はそろって入場するよう決められている。それだけだ。他意は無いからな」
「はい?」
聞こえないような小声でつぶやいているオスニエルの腕に、フィオナは手をかける。とりあえずは式をこなさなければならないのだ。逆に言えば、式さえ済ませてしまえば、夫婦という肩書にはなるが、オスニエルとは関わらなくて済むようになる。
「かわいらしいワンちゃんですね。愛犬とお揃いというのもいいですわね」
ドルフはこの言葉に気をよくしたようで、尻尾をパタパタと揺らし始めた。
支度がすべて整うと、ドルフは机の上に飛びのり、フィオナを眺める。
『なかなか悪くないぞ。あとはその怯えた顔をやめることだな』
「そうはいっても」
腹を決めたとはいえ、いざ結婚式となれば緊張する。まして、相手は自分のことを疎ましく思っている人だ。
うつむいていると、頬にドルフの舌が触れる。
『お前は美しい。俺のペットなんだから胸を張ってろ』
「その理由で、胸を張れるとでも?」
思わず、声を出して笑ってしまう。すると緊張もほどけてきた。
『さすがに俺は式には行けないが。お前の身ぐらいは守ってやるから安心しろ』
「ありがとう、ドルフ」
ホッとしたのもつかの間、ポリーが「オスニエル様がお越しです」と告げた。再び、フィオナの体ががちがちに緊張する。
「準備はできたか」
入ってきたオスニエルも、礼装をしていた。彼は騎士としての側面が強いらしく、正装は白の騎士服だった。
(やっぱり格好いい)
フィオナの目は彼の騎士服姿にくぎ付けになる。彼に恋などする気はないが、見た目が好みなのは変えられない。
一方、彼はじろりとフィオナを見ると、黙りこくってしまった。
「あの、オスニエル様?」
「はっ、いや、式場に向かうぞ。新郎新婦はそろって入場するよう決められている。それだけだ。他意は無いからな」
「はい?」
聞こえないような小声でつぶやいているオスニエルの腕に、フィオナは手をかける。とりあえずは式をこなさなければならないのだ。逆に言えば、式さえ済ませてしまえば、夫婦という肩書にはなるが、オスニエルとは関わらなくて済むようになる。



