(とりあえず、オズボーン側の騎士団と合流すればいいかしら)
フィオナはドルフを抱いたまま、国境の騎士団の元へと向かう。
ブライト王国の入国管理は、ここから一番近いインデスの街でおこなわれるため、本当の国境には警備兵はいない。オズボーン王国側も同様で入国手続き自体は一番近い街でおこなわれる。
近づいてみると、騎士団の傍には王家の紋章のついた馬車が用意されていた。彼らがフィオナの出迎えの兵であることは間違いないだろう。
その中で一番偉そうな勲章を付けた男が仁王立ちし、一般兵が数人、退屈そうにしている。
「あの、すみません」
おそるおそる声をかけたフィオナに、勲章を付けた男が、いかめしい顔を向けてきた。
「私はフィオナ・オールブライト。先ほど、私が乗った馬車は襲撃に遭いました。私を逃してくれた護衛のおかげで、単身ここまでたどり着いたのです。どうか保護を、そして、私の護衛たちを救うため、力を貸していただけませんか?」
男はまさか、という顔をした。
「失礼ですが。あなたがフィオナ様だという証拠はございますか? 我々は本日輿入れされるフィオナ姫を護衛するために来ています。ここを不在にして、もし本当の姫が来られた時に誰もいない状態にはできないのです」
「証拠ならこれを」
フィオナは王家の紋章をあしらった首飾りを取り出して見せる。
「ブライト王家の紋章です。今回の輿入れの際、ここで紋章を見せる手はずになっていたと思います」
「……これは、確かに」
男はおののいているが、そもそも迎えならば姿絵くらい見ているものだろう。わざとらしい驚きがフィオナの勘に触った。
まだ半信半疑ではあるが、彼らの仲間が、フィオナたちを襲ったというドルフの言葉は、正しいのかもしれない。
話しているうちに、ブライト国側から、十頭ほどの馬が土煙を上げながら戻ってくる。騎士団員というには、安っぽいぼろをまとっている。だが、動きは統率されている。こんな集団をフィオナはつい先ほど襲い来る盗賊団の中に見た気がする。
フィオナはドルフを抱いたまま、国境の騎士団の元へと向かう。
ブライト王国の入国管理は、ここから一番近いインデスの街でおこなわれるため、本当の国境には警備兵はいない。オズボーン王国側も同様で入国手続き自体は一番近い街でおこなわれる。
近づいてみると、騎士団の傍には王家の紋章のついた馬車が用意されていた。彼らがフィオナの出迎えの兵であることは間違いないだろう。
その中で一番偉そうな勲章を付けた男が仁王立ちし、一般兵が数人、退屈そうにしている。
「あの、すみません」
おそるおそる声をかけたフィオナに、勲章を付けた男が、いかめしい顔を向けてきた。
「私はフィオナ・オールブライト。先ほど、私が乗った馬車は襲撃に遭いました。私を逃してくれた護衛のおかげで、単身ここまでたどり着いたのです。どうか保護を、そして、私の護衛たちを救うため、力を貸していただけませんか?」
男はまさか、という顔をした。
「失礼ですが。あなたがフィオナ様だという証拠はございますか? 我々は本日輿入れされるフィオナ姫を護衛するために来ています。ここを不在にして、もし本当の姫が来られた時に誰もいない状態にはできないのです」
「証拠ならこれを」
フィオナは王家の紋章をあしらった首飾りを取り出して見せる。
「ブライト王家の紋章です。今回の輿入れの際、ここで紋章を見せる手はずになっていたと思います」
「……これは、確かに」
男はおののいているが、そもそも迎えならば姿絵くらい見ているものだろう。わざとらしい驚きがフィオナの勘に触った。
まだ半信半疑ではあるが、彼らの仲間が、フィオナたちを襲ったというドルフの言葉は、正しいのかもしれない。
話しているうちに、ブライト国側から、十頭ほどの馬が土煙を上げながら戻ってくる。騎士団員というには、安っぽいぼろをまとっている。だが、動きは統率されている。こんな集団をフィオナはつい先ほど襲い来る盗賊団の中に見た気がする。



