「なんなの? 山賊?」
突然の襲撃にフィオナはパニック状態だ。頭をよぎるのは八度目の人生の終焉だ。
(まさか、今世はこんなに早く死んじゃうの?)
いくら何でも早すぎるだろう。まだやり直してから半年しか経っていない。
(どこで選択を間違えちゃったんだろう。ああ嫌だ。また死ぬのも、またやり直すのも)
誰かに殺される人生なんて、もう飽き飽きだ。仮に自分の選択が間違っていたとして、死ぬほどのことだったのだろうかとフィオナは思う。人の反応をうかがって、これが最適かなんて考えて、……そして何が駄目だったのかと死んでからも悩む人生なんて、面倒くさい。
「もうたくさんだわ。私は私のまま、自由に生きたい」
人生を何度もやり直した。もう十分だ、今度は間違っていてもやり直したくなどない。他人のために自分を殺すのも、より正しい選択を求めてびくびくするのも、もう嫌だ。
「私は、生きたいの。こんなところで、楽しみも知らないまま死にたくない!」
その声は、フィオナの心からの叫びだった。八回もやり直したからこそそう思う。膝に乗っていたドルフは、「キャン」と鳴くとまっすぐにフィオナを見つめてくる。
追われて、足場の安全など気にせず暴走している馬車の中なのに、ドルフは妙に落ち着いていた。
「ドルフ?」
「貴様あっ」
御者の声がする。どうやら襲撃犯のひとりが追ってきたようだ。大きな音と共に馬車は揺れる。フィオナは恐ろしくなりドルフを抱きしめた。
「私、ここで死ぬの……? どうしよう。ごめんね。私が連れてきたから、あなたまで」
これまでの人生、ドルフは終生ブライト王国で過ごしたのだ。フィオナが連れ出さなかったら、こんなことに巻き込まれることもなかった。
「うわああああっ」
御者の声が響いたかと思うと、馬車が傾いで、フィオナの体にも浮遊感が訪れる。緩んだ手からドルフが抜け出した。
「危ない、ドルフ」
「キャン」
手を伸ばした瞬間、馬車の扉が開く。どうやら馬車ごと落ちているようだ。ドルフがその開いた扉から飛び出していく。
「ドルフ!」
叫びにも反応しない。やがて大きな衝撃がフィオナを襲う。
突然の襲撃にフィオナはパニック状態だ。頭をよぎるのは八度目の人生の終焉だ。
(まさか、今世はこんなに早く死んじゃうの?)
いくら何でも早すぎるだろう。まだやり直してから半年しか経っていない。
(どこで選択を間違えちゃったんだろう。ああ嫌だ。また死ぬのも、またやり直すのも)
誰かに殺される人生なんて、もう飽き飽きだ。仮に自分の選択が間違っていたとして、死ぬほどのことだったのだろうかとフィオナは思う。人の反応をうかがって、これが最適かなんて考えて、……そして何が駄目だったのかと死んでからも悩む人生なんて、面倒くさい。
「もうたくさんだわ。私は私のまま、自由に生きたい」
人生を何度もやり直した。もう十分だ、今度は間違っていてもやり直したくなどない。他人のために自分を殺すのも、より正しい選択を求めてびくびくするのも、もう嫌だ。
「私は、生きたいの。こんなところで、楽しみも知らないまま死にたくない!」
その声は、フィオナの心からの叫びだった。八回もやり直したからこそそう思う。膝に乗っていたドルフは、「キャン」と鳴くとまっすぐにフィオナを見つめてくる。
追われて、足場の安全など気にせず暴走している馬車の中なのに、ドルフは妙に落ち着いていた。
「ドルフ?」
「貴様あっ」
御者の声がする。どうやら襲撃犯のひとりが追ってきたようだ。大きな音と共に馬車は揺れる。フィオナは恐ろしくなりドルフを抱きしめた。
「私、ここで死ぬの……? どうしよう。ごめんね。私が連れてきたから、あなたまで」
これまでの人生、ドルフは終生ブライト王国で過ごしたのだ。フィオナが連れ出さなかったら、こんなことに巻き込まれることもなかった。
「うわああああっ」
御者の声が響いたかと思うと、馬車が傾いで、フィオナの体にも浮遊感が訪れる。緩んだ手からドルフが抜け出した。
「危ない、ドルフ」
「キャン」
手を伸ばした瞬間、馬車の扉が開く。どうやら馬車ごと落ちているようだ。ドルフがその開いた扉から飛び出していく。
「ドルフ!」
叫びにも反応しない。やがて大きな衝撃がフィオナを襲う。



