相手は巧妙に正体を隠していて、一樹でも追いきれないのだという。

普段、冷静な一樹も、相手のあまりの手強さに苛立っている。


「でも、紗夜にこんなことできるか?」

俺の疑問に、一樹が確かにと頷く。

「あの人にこんな知識があるとは思えませんね。ルドは少なくともハッカーの世界ランクに入ってる人間でしょうから」

「night、とか…?」

涼太が可能性の一人を口にするが、それはあり得ないだろう。