その手に握られていたのは、スタンガンだった。 「うっ」 バチッという音と、一瞬の電流が走る痛み。 俺はその場に倒れこんだ。 薄れゆく意識の中、頭に浮かんだのは紗夜を追い出した日のことだった。 あの時、紗夜はどんな気持ちだったのだろう。 どんな顔をしてた? あの時の紗夜の事なんて、何も気にかけていなかった。 何も見ていなかった。