やった!


やったね洋人君!


心臓がドキドキして、すごく興奮しているのがわかる。


それから試合は順調に進んで行き、渡中学校が勝利を収めて終わることになった。


「すごい……」


河川敷でのサッカー試合でこんなに興奮したことは初めてかもしれない。


すべてが終わって観覧者たちがバラバラに帰っていく中でも、あたしはなかなかその場から離れることができなかった。


もう少しこの余韻に浸っていたくて、自転車を置いて石段に座る。


太陽に輝いている河川敷を見つめていると、女の子のグループが横を通り過ぎて帰って行った。


「そんなにすごかった?」


しばらくの間そうして河川敷を見ていると、不意に後ろから声をかけられて体をビクリとはねさせた。


振り向くと、そこにはユニフォーム姿の洋人君が立っていた。


「洋人君!?」


あたしは慌てて立ち上がる。


洋人君の前髪から汗が滴り落ちている。


「応援サンキュ。おかげで勝てたよ」


洋人君は首にかけたタオルで汗を拭きながら言う。


声、聞こえてたんだ。


そうわかって途端に顔がカッと熱くなり、うつむく。