話を聞いているうちにお弁当お食べ終えたあたしは軽く身震いをした。


怖い話を聞いて少し体感温度が下がったみたいだ。


「あれ、遥もう食べちゃったの?」


そんな声がして顔を向けると、同じクラスの白倉雪(シラクラ ユキ)と今山香(イマヤマ カオリ)が立っていた。


2人とも食堂へ行っていたのだ。


「へへっ。お腹空いちゃったんだよね」


あたしはそう言って舌を出した。


「白状だなぁ」


雪は頬を膨らませながら椅子を持ってきて、食堂で買ったおにぎりをほお張った。


名前の通り雪のように透き通った肌を持つ雪は、パッと見はかなく見える。


一方香は中学時代から万年ショートカットで、運動神経が抜群だ。


香は雪と同じ梅干のおにぎりを食べていて、あたしは首をかしげた。


香って梅干苦手じゃなかったって?


あたしの勘違い?


そう考えていると、あたしと同じように早く昼ごはんを食べ終えた佐々野純也(ササノ ジュンヤ)が近づいてきた。


「遥、もう食べたのか?」


空いている後ろの席に座り、あたしに声をかけてくる。


「うん。純也も食べるの早いよね」


体ごと後ろを振り向いて答える。


「昼飯なんてあっという間に終わるよ。長いのは授業時間だけ」


純也はそう言って大きなあくびをした。


目じりに涙がたまってなんだかかわいらしい。