「どうしたの、理恵?」


理恵の顔色が変わったことに気づいた真美が、心配そうに理恵の顔をのぞき込んだ。


「電話が繋がらない……」


「え?」


「理由がわからないけど、電話が繋がらないの!」


理恵の焦燥感があるその声を聞いて、真美の心臓もドキドキと音を立て始める。


そしてその予想もしていなかった最悪の状況を否定したくて、真美は理恵に訴えていた。


「きっとかけ間違いとか、操作ミスとかだよ。

もう一回電話すれば、きっと電話は繋がるはずだよ」


理恵は真美のその言葉を信じて、もう一度、110番をプッシュした。


でも、結果はやはり同じだった。


電話はやはり繋がらないのだ。