「おい、チビクソ兄弟!

夢野学園で好き勝手してくれるじゃねぇか!」


悟はそう言って、白いワイシャツを血まみれにしている兄弟を見下ろした。


桐野悟は身長185センチ、体重100キロの恵まれた体格で、その体の大きさ小又兄弟の倍はある。


普通の中学生ならば、悟の体型を見ただけで、ケンカをする気が失せるだろう。


そんな悟は、今の夢野学園でケンカの強さナンバーワンの不良だ。


悟に逆らえる生徒なんて、夢野学園のどのクラスにもいなかった。


「兄ちゃん、デッカイ奴が出てきたよ。

僕たちをにらんでいるよ」


「グヘッ、グヘヘヘッ。

心配するな良雄。

オレたちは最強だから」


桐野悟と対峙する小又兄弟は余裕の表情で笑っていた。


そしてその笑顔にはウソや偽りが少しもなく、小又兄弟はまるで危機を感じてなかった。


むしろ小又兄弟は、自分たちの遊ぶ相手が増えて、よろこんでいるみたいに見えていた。