(逃げなきゃ……。

逃げなくちゃ、私たちは殺される……。

命がけ鬼ごっこなんて、冗談だと思っていた。

だけど、冗談なんかじゃなかったんだ。

たくさんの生徒が本当に殺された!)


真美は階段を駆け下りながら、流れ落ちる涙が止まらなかった。


小又兄弟に捕まり、自分に助けを求めてきた陽子。


自分はどうにかして陽子を助けたかった。


でも、自分はあの二人の殺人鬼に対して本当に無力だ。


自分はただ見ているだけだった。


大切な友達が殺されるその瞬間を。


真美の頭の中に衝撃的な瞬間が蘇る。


小又兄が大ハンマーを高く振り上げ、その大ハンマーが陽子の頭に……。


真美は人の頭がぐちゃっと音を立てて潰れるのを初めて見た。


そんな瞬間が自分の人生に起きることを想像したこともなかったのに……。