「何してるの、真美!

早く逃げなきゃ!」


「でも、陽子が……、あの殺人鬼に……」


「もう無理だよ、陽子は助からない!

もう助けようがないんだよ!」


真美が理恵の真剣な言葉にその場から逃げ出そうと迷ったとき、子豚のような殺人鬼が不気味に笑い、楽しげに陽子にこう言った。


「鬼ごっこ、しゅ~りょう!

君は死刑!」


まるで子供が遊んでいるかのような大きな声が、校舎三階の廊下に響いた。


そして真美が聞いたその言葉は、中学生にしてはひどく幼稚なものに思われた。


「僕たちの命がけの鬼ごっこで捕まった人は死ぬんだよ。

だって、命がけだからね。

ケケケケッ」


子豚のような男の後に死神のような顔の殺人鬼が笑いながらそう言ってきた。


真美はそれを聞いて、逃げなくちゃって、頭の中で思っていた。


でも真美は、まるで心を奪われたかのようにその場から一歩も動けず、小又兄弟と陽子を見ていた。