「雪塚さん……もう全部話して」



体を離し、髪の毛をそっとかき分ける。
すると、額に浮かぶ青黒いアザが顔を出した。



「……本当のこと言ったら、私のこと嫌いになるかもしれない」

「大丈夫。全部受け止めるから。これ以上雪塚さんが苦しむところは見たくないよ」

「っ……」



もうひとりで抱え込まなくていいから。

苦しみも悲しみも全部包み込むから。

だから話して。


真っ直ぐ目を見て伝えると、悲しみの色に染まっていた彼女の瞳から涙がこぼれた。



「もっと褒めてほしかった……もっと自分の話を、意見を聞いてほしかった。否定しないで、ありのままの自分を見て……認めてほしかった……っ。条件つきの愛なんかじゃなくて、純粋に愛してほしかった……っ‼」



泣き崩れた彼女を再び抱き寄せ、背中を擦る。

これまで背負ってきた悲しみ、憎しみ、怒り……負の感情が次々に溢れ出して、胸をズキズキと突き刺していく。


怖かったよね。悲しかったよね。苦しかったよね。

でも、もう我慢しなくていいから。そばにいるから。

俺が君を守るから──。