褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

すると、ちょうど隣で、西尾先輩にバシバシと背中を叩いてもらっている兄を発見。

よし、一か八か頼んでみよう。



「あの、私もお願いします」

「えっ、実玖ちゃんも⁉」



意を決して頼んでみたものの、目をまん丸にされてしまった。



「あ……ダメでしたか……?」

「いや、そういうわけじゃなくて。なんか強く叩きづらいから……」



口をモゴモゴさせる西尾先輩。

え? どういうこと? 先輩、そんなに力強いの?



「大丈夫です! 強いほうが緊張吹っ飛ぶので! お願いします!」

「…………わかった」



ドキドキしながら背中を向ける。


しかし……背中に広がった衝撃は想像以上にめちゃくちゃ弱かった。

効果音で表すなら、ポンポンと優しく叩かれた感じ。



「あ、あの……?」

「ごめん、やっぱり無理だった」



申し訳なさそうに謝りながら、背中を擦られた。


そんなぁ……でも、なんか安心する。少しほぐれてきたかも。


しばらくすると、ファッションショーの始まりを告げる音楽が体育館内に響いた。

前に並んでいる生徒達が次々とステージに上がり、反対側のステージ裏に帰っていく。