褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

いつもなら10分で着くところを20分もかけて歩き、ようやく家に到着。

先に先輩には兄の部屋に行ってもらい、急いでお茶とお菓子の準備を始める。


言葉遣いには気をつけてはいるけれど、今後は言葉選びにも気をつけないとな。

あと、スマホの誤タップにも気をつけよう……。



お茶とお菓子をおぼんに乗せて運ぼうとした時、ポケットに入れたスマホが振動し始めた。

電話? 可南子かな?


持ち上げたおぼんを置き、ポケットからスマホを取り出すと、



「……えっ⁉」



震えているスマホの画面には【とーま】の文字が。


なんで折り返して……まさか、お兄ちゃんの仕業⁉

さっき、『かけてみたら?』ってニヤニヤしながら言ってたし。

多分、私の番号だってわかってて言ったよね。


無視するわけにもいかないし……怖いけど出るか。



「も、もしもし。清水です……」

「えっ……もしかして実玖ちゃん⁉」

「は、はいっ。今から持っていきます……っ!」