褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

ドアをノックし、少し開けて中の様子をうかがうと、ベッドには青白い顔をした母が静かに眠っていた。

起こさないよう、足音を消して中へ。



「んー……?」



テーブルにそっとおぼんを置いたが、人の気配を感じたのか目を覚ましてしまった。



「あら、おかえり」

「ただいま……」



ご飯の匂いに気づいた母は、ゆっくりと体を起こし、おぼんを自分の膝の上に置いた。


先程父が口にしていたツキというのは、この家では生理のことを意味している。

母いわく、そのほうが運が巡ってきた感じがするらしく、学生の頃からそう呼んでいるらしい。



「明日仕事あるんだよね? 大丈夫?」

「大丈夫。短時間だから」



そうは言っても……。
顔色悪いし、笑顔も引きつってるからちょっと心配だ。



「ママ、お茶持ってきたよ」

「あら、ありがとう~」



お茶が入ったマグカップを持った父が部屋に入ってきた。

ベッドから少し離れ、両親の会話に耳を傾ける。



「明日仕事だよね? 何時間くらい?」

「お昼の1時から5時までだから、4時間くらいかしら」

「わかった。俺明日休みだから送り迎えするよ」

「いいの? ありがとう!」