「柳田!

どこに行くんだ?

おい、柳田!」


オレの後ろから梅田先生の声が聞こえてきたが、オレはもう忍がいる教室を振り返るつもりはなかった。


オレは三年二組の教室を抜け出すと、ホームルームの時間で誰もいない廊下を無我夢中で走っていた。


どこに行けば忍から逃れられるのかはわからなかった。


でも、少しでも早くこの学校から出ていかなくてはいけないことだけは本能的にわかっていた。


忍へのいじめがあったこの学校内には、きっと忍の恨みと憎しみが満ちているに違いないのだ。


校舎の三階から階段を駆け下り、昇降口で靴を履き替え、オレが学校の外に出たとき、オレの息は上がっていたが、オレは走ることを止めようとは思わなかった。


もしもオレが走ることを止めたなら、忍の悪霊がまたオレの背後に現れるかもしれない。


そして、きっとそのとき忍の呪いは発動する。


忍がオレを殺すために……。