カウントダウン

「カウントダウン……」


忍はまばたき一つしない血走った目でオレをにらみ、言葉を発した。


「今夜の12時までにお前は死ぬ……。

カウントダウンは止まらない」


そう言った忍がゆっくりとした足取りでオレの方へ歩き出していた。


血色の悪い青白い顔、まばたき一つしない血走った目、血で赤く染まったセーラー服。


今の忍の特徴の一つ一つが、忍がこの世に存在してはいけない悪霊だということを証明していた。


床に倒れていたオレは震える足で慌て立ち上がり、クラスの生徒が見守る中で、後ずさりを始めていた。


「く、来るな……。

こっちに来るなよ……」


オレが後ずさりする歩調に合わせるように、忍がゆっくりとオレの方に迫っていた。


あの陰キャ眼鏡のおどおどしていたあの瞳に、オレが恐怖する日が来るなんて想像もしていなかった。


忍は悪霊になって、人を呪う力を身につけた。


そしてそんな忍が復讐のためにオレの前に現れたのだ。


忍に捕まったら殺される……。


オレはそんな思いにかられると、忍に背を向け、少しでも忍から離れるように全力で走り出していた。