梅田先生の説教が終わり、梅田先生と共に教室に向かっていたオレは、先月、トラックにひかれて死んだばかりの忍のことを考えていた。


陰キャ眼鏡というアダ名がついていた忍は、そのアダ名のイメージ通り、性格が暗く、黒縁の丸メガネをかけたブスだった。


おまけに忍は勉強もダメ、スポーツもダメ、友達はいない、家は貧乏と、まるでイケていない中学生のすべてを集めてきたような奴だった。


そんな忍が近くにいると、みんなが忍に優越感を感じて忍を蔑み、嘲笑と共に忍をバカにするのが常だった。


もちろん、忍をバカにすることに罪悪感を感じている人は誰もいない。


忍をけなす言葉の数々は、日常生活に溶け込んで教室内に溢れていた。


そして、そんな忍の悪口を先頭をきって言っていたのはこのオレだ。


だから忍はオレのことを憎んでいる。


死してもなお、オレを殺したいと思うほどに……。


梅田先生と共にオレが教室に入っていくと、ざわついていた教室内が急に静かになっていった。


そしてクラスメイトたちの冷たい視線が、まるで尖った針で射るようにオレの体を突き刺していた。