私は父と二人で住むワンルームのアパートの一室で、ポケットからスマホを取り出し、手に取った。


そしていつもと同じように小説投稿サイトにログインし、自分の大切な作品、『復讐日記』を開いてみた。


この作品の昨日の読者は25人。


この世界には私の気持ちを知る誰かが25人も存在してる。


そんなことを思いながら、私は『復讐日記』の最後の章のタイトルを書き込んで文字を見つめた。


【忍の遺書】


この章を書き終えたら、絶望しかないこの世界から消えるために家を出よう。


私はそう思いながら、『復讐日記』の最後の章を書き始めた。


そして泣きながら『復讐日記』の最後の章を書き終えると、私はポケットにスマホをしまい、酒に酔って寝ている父に別れも告げることもせず、ゆっくりと立ち上がった。