「何でみんな黙っているんだよ。

オレの言うことを信じろよ。

みんな、オレを助けてくれよ!」


相変わらず、貴史の言葉に反応する生徒はいなかった。


梅田先生は取り乱している貴史に業を煮やし、教壇から貴史の席へと歩き始めた。


「先生……。

先生ならオレの言うことを信用してくれるだろ?

忍がオレを呪うんだ……。

このままじゃ、オレは殺される!」


さっきまでバカにしていた貴史の言葉を私も少しずつ信じ始めていた。


もしかしたら、私の後ろに忍の幽霊がいるかもしれない。


憎い私を呪うために……。


「柳田、静かにしなさい。

教室を出るんだ!」


「何でだよ、先生。

先生は信じてくれないのかよ!」


梅田先生と貴史の言い争いに私がうつむきながら耳を傾けていたとき、今度は私の背後から不気味な笑い声が聞こえてきた。


「フフフッ、フフフッ……。

ハハハハハッ……」


私はその笑い声にゾッとしながら、両手で耳を塞いでいた。


忍の幽霊がこの教室に居座って、みんなの不幸を願っている。


私にはそう思えて仕方がなかった。