【芦田梨花side⑬】

私は忍の遺書を読み終わって胸が痛んだ。


忍の隠された思い、それは普通の中学生になって、教室に居場所があって、大切な友達を作ること。


それは忍以外のみんなが叶えているけど、忍には叶えられなかった大きな夢だ。


みんなには当たり前のことが忍にはできなくて、忍はみんなが羨ましかったんだ。


私とほぼ同時に忍の遺書を読み終えた雄一がスマホから目を離したとき、私は雄一に自分の思いを伝えていた。


「私、忍のこの作品にコメントを書こうと思う。

忍はきっとみんなと普通に会話がしたかったのだと思うから。

私は忍に自分の思いを伝えたい。

私にはそれくらいしかできないから」


「オレも忍の作品にコメントを書く。

ちゃんと忍の思いが伝わったことを書きたいから。

それと、忍の遺書が見つかったことをみんなに教えたい。

忍はみんなに自分の本当の気持ちを知って欲しいと思っていたはずから」