【柏木愛美side①】

「ヤバいよ……。

本当にヤバいんだよ!」


私が教室に来て自分の席に座ろうとしたとき、後ろから柳田貴史の声が聞こえてきた。


貴史はスポーツは万能だけど、その他は平均以下のイケてない男子だ。


私はそんな貴史に興味はなかったが、怯えている貴史の声が私の耳に入ってきていた。


「本当なんだよ。

杉田忍がオレに復讐するために、オレのことを呪っているんだ。

カウントダウンは止まらない!

呪いを解かなきゃ、オレは死ぬ!」


貴史の席を振り返ると、怯えて青ざめた顔をしている貴史を康孝が必死になだめていた。


私はそんな貴史を見ながら、貴史が口にしていたキーワードを心の中で笑っていた。


(杉田忍、復讐、呪い、カウントダウン。

ああ、バカバカしい。

貴史はマンガの見すぎじゃないの?)


私は取り乱している貴史をバカにしながら、興味本意で見続けていた。