「死んだ忍があなたにラインのメッセージを……。

まるで物語のような出来事ね。

思えば忍は、そんな物語が大好きだった……」


忍のお母さんは雄一の言葉を否定しなかった。


私はそのことにホッとして息を吐き、電話の声に耳を澄ました。


「私は忍が仲良くしていた人や大切にしていた場所を知っているの。

忍がうれしそうにそのことを話してくれたから。

私の勘だけど、忍の遺書はきっとそこにあると思う。

とても見つけにくいけど、誰にでも見つけられる場所。

きっと忍はその場所に、自分の伝えたかったことを残している」


私は忍のお母さんのその言葉に胸が踊った。


かすかな手がかりをたぐっていくと、そこに真実が隠されていた驚きとよろこび。


私は雄一に体を寄せて、スマホから聞こえてくる忍のお母さんの言葉を待っていた。