カウントダウン

「忍が死んでしまった一週間前に私は偶然、忍に会ったの。

私と忍は八年ぶりに話をした。

あのとき忍が死ぬなんて、私には想像もできなかった……」


忍のお母さんの声は暗く沈んでいた。


娘が死んで悲しくない親なんて、やっぱりこの世にいないのだろう。


しんみりとした雰囲気の中、電話での会話が少し途切れ、沈黙の後に忍のお母さんが確信に迫る質問を雄一に投げかけた。


「忍の死は本当に自殺なんですか?

だとしたら、忍が自殺した理由って何ですか?」


その質問に雄一の表情が険しくなった。


でも雄一は一度呼吸を整えると、ありのままの真実を忍のお母さんに伝えていた。


「忍さんが自殺した理由はクラス内でのいじめです。

本当なら、誰かがいじめを止めるべきだったのに、オレたちはそれをできなくて……」


雄一が忍へのいじめと一番遠い距離にいたことを私は知っていた。


でも、それなのに雄一は責任を感じているのだ。


クラス内にあったいじめを黙認していた責任を。


私は雄一のその態度に胸が苦しくなっていた。


だっていじめを黙認していた私たちの行動は仕方がないことだと思っていたから。


私は忍のお母さんからどんな言葉が返ってくるかが怖かった。


忍のお母さんは私たちを憎むはずだと思っていたから。