カウントダウン

「だったらお母さん……」


すべてをあきらめかけていた私のとなりで、雄一が強い意思を感じさせる声を発した。


「忍さんが仲良くしていた人や頼りにしていた人を知りませんか?

どんな小さな情報でもいいんです。

たとえば、学校から帰った忍さんが立ち寄っていた場所とか、忍さんだけの大切な居場所とか」


雄一のその口調から雄一の必死さが伝わってきた。


私はすべてをあきらめかけていたのに、雄一は私よりもずっと強い。


もしも雄一がいなかったら、私は抗えない運命に呆気なく流されていただろう。


だけど本当に忍には特別な仲間や居場所があるのだろうか?


私には忍の友達も居場所も思いつかない。


私の頭の中に浮かぶのは、教室で居場所をなくして、いつもうつ向いていた忍だけだ。


だけどもしかしたら、私たちが知らない何かを忍のお母さんは知っているかもしれない。


その可能性が現実であってくれたなら。


私がそんなことを願ったとき、忍のお母さんが静かに話し始めた。


私たちは忍のお母さんのその声に意識を集中させていた。