「いい情報は何もなしか……。

クソッ。

少しでも早く忍の遺書を見つけたいのに」


私のとなりでベンチに座っている雄一が少し苛立っているのが私にも伝わってきた。


雄一は私にかかった忍の呪いを自分のことのように心配していた。


私はそんな雄一に頼りながらも、神様に祈るような気持ちで忍の遺書への手がかりが見つかることを願っていた。


忍の遺書の手がかりになる情報が何もないのなら、何の行動も取れないのが現状だ。


私は深刻な顔をしている雄一を気遣って、つぶやくように雄一に話しかけていた。


「仕方がないことだよね。

忍のお母さんのことを知っている人の方が珍しいよ。

もしもクラスのみんなが何も知らなかったら、別な方法で忍のお母さんの居場所を見つけないといけないね」


どんなに願っても、誰も知らない情報はグループラインに流れない。


それは最初からわかっていたことだ。


だから、クラスのみんなは悪くない。


私は不安な気持ちの中で、気持ちを落ち着かせるために、自分にそう言い聞かせた。


忍の遺書が見つからないのは誰のせいでもない。


私がそう思って、ため息をつきながらうつ向いたとき、私たちのスマホからラインの通知音が流れてきた。


そしてその通知音と同時に、私たちは期待を込めて、ラインのメッセージに目を向けていた。