「忍のお母さんが忍の遺書を持っている可能性はあると思う。

でも、忍のお母さんはどこに住んでいるんだろう？

連絡先もわからないし」


もしかしたら、忍の父は忍の母の連絡先を知っているかもしれなかった。


でも、あの人が私たちに忍の母の連絡先を教えてくれるとは思えない。


あの人は私たちに少しも協力的ではないから……。


そう思うと、今の状況は八方塞がりだ。


まるで出口のない部屋に閉じ込められているみたいに……。


私が忍の遺書の手がかりすら見つけられないことにため息をついたとき、雄一が私の顔を見てこう言った。


「クラスのみんなに忍のお母さんのことを聞いてみよう。

もしかしたら、何かを知っている人がいるかもしれない。

忍の呪いを解くためだから、きっとみんなが協力してくれる。

可能性はゼロじゃない」


私は雄一のその言葉がうれしくて微笑んだ。


雄一は目立たなくて、大人しいタイプの男子生徒だと思っていたのに、私の側にいてくれる雄一は誰よりも頼りになる。


そうだ……。


可能性はゼロじゃない。


私たちは絶対に忍の遺書を見つけないといけないんだ。