(何で遺書が見つからないんだろう?

きっとどこかにあるはずなのに……)


私は遺書を探し尽くしたこの部屋の中で呆然としながら、そんなことを思っていた。


そしてどうすれば忍の呪いが解けるかもわからないままに、私の頭の中は真っ白になっていた。


「梨花、ここを出るぞ。

忍のお父さんがもうすぐ来る」


「でも、雄一君……」


「ここにはきっと遺書はない。

別のどこかに遺書はあるんだ」


雄一はそう言うと、私の手をきつく握りしめて、その場から走り出していた。


私は雄一に手を引かれながら、雄一の背中を追うように走っていたが、心の中では不安と恐怖が膨らんでいた。


(忍のアパートに忍の遺書がないなら、忍の遺書はどこにあるの?)


私は答えが見えないその問いに、絶望を感じていた。