【芦田梨花side⑦】

私と雄一は全力で忍のアパートに走っていくと、玄関のドアをそっと開け、無人のアパートの中に入っていった。


そんな私たちに残されている時間は、いつ帰ってくるかわからない忍の父がここに戻ってくるまでだ。


そしてその時間は、一時間かもしれないし、三分間かもしれなかった。


私たちそんなタイムリミットを気にしながら、散らかっているアパートの一室で忍の遺書を探し始めた。


(部屋は散らかっているけど、狭い部屋だから探せる場所は限られている。

これならきっと忍の遺書を見つけられる)


私と雄一は遺書がありそうな場所を片っ端から探していった。


忍の父が戻ってこないことを願いながら。


そして私は忍の遺書を探し始めてから十分後、予想外のことに慌てながら雄一に話しかけていた。