私の私物が隠されたり、なくなったりするの良くあることだ。


私がなくなった物を教室で探していると、みんながそんな私をおもしろがりながら見ているような気がして落ち着かない。


私はみんなにバカにされ、困っている様子を笑われているのだ。


私の家は貧乏だから、なくした物をすぐには買ってもらえない。


そんなことを考えていると、私はつい深いため息をついてしまう。


不幸な人間が不幸なループに入り込むと、もうそこからは抜け出せず、どこまでも落ちていくものなのだろうか?


だとしたら、私は不幸になるために生きているの?


クラスのみんなに優越感を与えるために生きているの?


現実の世界は残酷で理不尽だから、私はそっと目を閉じ、妄想の世界に入り込む。


私が作り上げた妄想の世界の中で、私という存在は決してみじめな女子生徒ではないのだ。


私は私が作り上げたもう一つの世界で、何者にでもなれる。


クラスの人気者にも、かわいらしい中学生にも、友達に囲まれている自分にも……。


現実の世界とは違い妄想の世界はすごく優しい。


私はそんな妄想の世界が大好きだ。