【杉田忍side③】

授業の合間の休み時間、教室内ではいつものように笑い声がしている。


仲の良い人たちでグループを作り、何気ない話で笑っているのだ。


だけど私はそんな友達の輪から目をそらし、早く休み時間が終わることを願っている。


このクラスの生徒で私に話しかけて欲しい人なんて誰もいない。


陰キャ眼鏡の杉田忍と友達だと思われたら、誰だって迷惑なのだ。


そんなことくらい、私にだってわかっている。


私はこの教室にいる時間が大嫌いだ。


私はクラスメイトを仲間だなんて思ったことはなし、クラスメイトだって同じことを思っているに違いないのだ。


みんなが笑っているのに、自分の席で一言も発せずうつ向いている私はみじめだ。


だから私はじっと机を見つめながら物語を考えている。


それはこのクラスメイトが私と同じように不幸になる物語だ。


いつも幸せそうにしているクラスメイトが私と同じところまで落ちてきたとき、私はそのことにほくそ笑み、ささやかな幸せを感じることができるだろう。