私たちは忍のアパートに着き、根気強く忍の父がアパートから出ていくのを待っていた。


アパートのドアを見つめ、忍の父がアパートを出ていくことに意識を集中させていると、数分間の時間でさえも、まるで永遠のように長く感じられた。


だけど、私たちはここであきらめるわけにはいかなかった。


今、流れている数分間の時間に、私たちの運命がかかっているかもしれないから。


忍の呪いが本当に三年二組の生徒を一人ずつ殺していくならば、時間の経過と共に三年二組の生徒は全滅してしまうのだろう。


私は早く忍のアパートから忍の父が出ていくのを願っていた。


そしてその一瞬の隙に、忍の遺書を見つけるんだと自分に言い聞かせていた。


「あっ、忍のお父さんがアパートから出てきた」


雄一がそう言ったとき、私の心臓がドキドキと音を立てた。


ついに待っていたときが来た。


今から私たちは自分の運命を変えるために忍の遺書を探すのだ。


タイムリミットは忍の父がまたこのアパートに戻ってくるまで。


その時間が長いとは限らない。


「行こう、梨花。

急いで忍の遺書を探すんだ」


忍の父の後ろ姿が見えなくなり、私たちは忍のアパートへと走り出した。


これからの数分間で私たちの未来が決まる。


私は自分にそう言い聞かせながら、全力で忍のアパートへと走っていた。