カウントダウン

「そうだよな。

呪いなんてあるわけないよな」


オレは自分に言い聞かせるようにそうつぶやき、昨夜の忍の言葉をなかったことにしようとしていた。


呪いとか幽霊とか心霊現象とか、そんな非科学的なことが現実に起こりうるはすがない。


冷静になって考えればわかること。


そうだ……。


杉田忍なんて、元々、取るに足りないゴミみたいな存在だったじゃないか。


そんな奴がオレに復讐なんてできるはずがない。


あんな奴のことなんて、早く記憶から消し去ろう。


「納得したか、チームメイト」


康孝はそう言って、爽やかにニコリと笑った。


「受験まで半年を切ったんだぜ。

オレも貴史もS高校に合格して、また一緒にバスケしようぜ。

目標は全国制覇だぜ」


康孝は全国制覇という言葉をよく口にする。


それは叶うはずのない夢だけれど、オレは康孝の前向きな言葉が好きだった。