「おい、陰キャ眼鏡。

机の上に菊の花なんて飾ってあるから、死んで学校に来ないのかと思ったぜ」


私の席に近づいてきてそう言ったのは柳田貴史だ。


柳田貴史はイケてない男子のくせに、弱い立場の私をいつもバカにしてくる。


クラスメイトに私を無視するように言ったのも柳田貴史に決まっている。


私は貴史を呪い殺す物語を何パターンも持っているほどに嫌いだったが、その気持ちを隠すように、うつ向きながらじっと机を見つめていた。


私は感情のない石になりたい。


そしたら、貴史に何を言われても傷つかないでいられるのに……。