カウントダウン

「やっぱりお前、おかしいよ。

昨日、悪いものでも食ったのか?」


オレが昨夜の出来事を思い出して不安になっている傍らで、康孝は笑いながらオレにそう言ってきた。


昨日までのオレならば、笑いながら康孝に冗談を返していただろう。


でもオレは冗談など言える余裕もなく、胸に不安を抱えながら、康孝に言葉を返した。


「なぁ、康孝。

この世に呪いってあると思うか?」


オレが真剣な顔で康孝にそう言うと、康孝はオレの言葉にキョトンとした表情を見せた後、声を上げて笑い始めた。


「真面目な顔して何を言うかと思ったら、この世に呪いがあるかだって?

そんなのあるわけないだろ?

マンガの見過ぎかよ」


康孝はオレの話をホラーマンガの影響だと思っているらしかった。


でも、オレはホラーマンガの影響を受けたんじゃなくて、本当に見たんだ。


まばたきもせず、血走った目をした杉田忍の幽霊を……。