(誰か助けて!

このままじゃ、殺される!)


私は暗闇が広がるお堀の中へと引きずり込まれ、息をすることもできなかった。


私は死と隣り合わせの状況の中で、必死に手足をバタつかせていたが、私の体はお堀の深いところへと引っ張られていくばかりで、空気のあるあの陸地が遠い場所のように思われていた。


(何で私がこんな目にあうの?

私は何もしていないのに……。

誰か助けて!

死にたくない!)


私は必死に心の中で叫んでいたが、私のその声が誰かに届くことは決してなかった。


私は水の中で脱力し、もう逃れることのできない自分の死を認めようとしていたとき、忍の声を聞いた気がした。


(忍が私に何かを言ってる。

何だろう?

聞き取れない……。

忍は何が言いたいの?)


結局、私は忍が何を言ったか理解できぬまま、静かに意識を失っていた。