カウントダウン

(今のは夢……?

でも、何で忍の夢なんて……)


オレがそんかことを思いながら、乱れる呼吸を整えていた。


(忍が死んだことを聞かされたときは、ビックリして忍をいじめたことを後悔したけど、まさかこんな夢を見るなんて……)


オレは他人が幸そうにしていると嫌な気持ちになるけれど、誰かに不幸が舞い込むと自然と笑みがこぼれてしまう。


そんな他人の不幸が好きなオレにとって、杉田忍はいじめの格好のターゲットだった。


杉田忍はどんなにいじめても決して反撃してこない。


それに杉田忍をかばおうとする奴もクラスに一人もいなかった。


忍がオレたちからいじめを受け、困った顔したり、悲しそうな顔をしているとき、オレは忍の不幸をよろこび心の中で声を上げて笑っていた。


いじめという誰かを不幸にする遊びは本当に楽しい。


もっと忍をいじめて、もっと忍を不幸にすれば、今以上に楽しいに違いない。


明日も明後日もクズの忍をいじめよう。


オレは忍をいじめ続ける毎日の生活がいつまでも続くと思っていた。


それなのに、まさか忍が死ぬなんて……。


オレがそんなことを考えていたとき、オレの体にずしりと重い何かがのしかかってきた。


そしてそれと同時に、オレは急に金縛りにあって、少しも体を動かせなくなっていた。