今日、私は父が酔いつぶれて寝ている部屋の中で、自分がまだ幼かった頃のことを思い出していた。


改めて考えてみると、私の家は幼かった頃から最悪だった。


でも、私が小学一年生の頃までは母が家にいたし、父もときどき働いていた。


両親のケンカが絶えなくて、嫌な気持ちになる家だったけど、それでも、父と二人で生活している今よりは、だいぶマシだったと断言できる。


私は母のことが好きだったし、父のことも今よりは嫌いじゃなかった。


そして、そんな家族のことで今でも私が思い出すのは、私が小学校一年生だったときの誕生日のことだ。


その日の夜、私たちが囲むテーブルの真ん中には、小さなバースデーケーキが置かれていた。


私はそのバースデーケーキを見て、いつもとは違う特別な気持ちを感じていたのを覚えている。


あの日、私は幸せだった。


まるで物語の主役になった気持ちだった。


いつもはケンカばかりしていた父と母が、あの日だけは優しかった。


私はあの日を忘れない。


あの日はきっと神様が私にくれた奇跡だと思っているから。