「私はお前のキレイな顔が大嫌い……。

私はお前の醜い顔が見てみたい」


背後から聞こえきた忍の声で忍の呪いがまだ終わっていないことに私は気づいた。


だとしたら、私にはどんな呪いが待っているのだろう?


私がそう思ったとき、私の上半身がゆっくりと前に倒れていき、私の顔が鍋から立ち上がっている熱い湯気に包まれた。


私は勝手に少しずつ折れ曲がっていく上半身を必死になって真っ直ぐに起こそうとしていたが、私の体は私の意思を完全に無視していた。


私の顔が沸騰したお湯に近づくにつれ、湯気の熱さを間近に感じた。


そして最悪の結末が私の頭の中にハッキリと思い浮かんだが、それを回避するすべが何もないとき、私は我を忘れて、ありったけの声で叫んでいた。


「助けて!

いやぁぁぁぁぁぁ!」


私の顔が沸騰したお湯にどっぷりとつかり、私は顔に感じる激痛の中でパニックになっていた。


沸騰したお湯に浸かった私の顔がぐちゃぐちゃになっていくことを考えることすら私にはもうできない。


もしもこれが悪夢ならば、今すぐに覚めて欲しい。


私は今まで幸せだったのに……。


ずっとずっと幸せだったのに……。


私は自分の人生が闇に閉ざされていくのを感じながら、忍のうれしそうな笑い声を聞いていた。