時の流れの早さに驚きつつ、靴を脱いでリビングに向かう。

ドアが開かれると、ダイニングテーブルの上に多種類のお菓子が並べられていた。



「おおお……予想以上に多かった。っていうか、3つずつじゃなかったっけ?」

「うん。最初はそのつもりでいたんだけど……どれも美味しそうだったから、全部買っちゃった」



鉄仮面を緩めて可愛らしく言い訳をした司。


チョコレートは2種類。バレンタイン用の箱入りタイプと、市販の個装タイプ。

その両脇に、プレーン味とココア味のクッキーが挟むように置いてある。



「食べきれなかったらごめん」

「全然。これくらいどうってこと! それより、この赤い箱もお菓子?」

「そうだよ。賞味期限が迫ってるから、こっちを優先的に食べてくれるとありがたいんだけど……」



箱を手に取ると、蓋を開けて中身を見せてきた。



「ん〜いい匂い。ガトーショコラ?」

「うん。本当は買うつもりなかったんだけど、どうしても気になって」

「わかる。私だったら見た瞬間絶対かごに入れてる」