目を合わせると、彼の口角が緩やかな弧を描いた。


また勝手に読んだな。この世話焼きお坊っちゃまめ。どんだけ私達のことが大好きなんだ。

世話を焼いたり喜ばせるのもいいけど……もう少し自分自身にも優しくしていいと思うな。



「ありがとう。せっかくだから沢村にもお菓子買ってあげるよ」

「えっ、いいの?」

「そりゃあ、長い相談に付き合わせたんだから。一応お礼はしなきゃ」

「やったぁ。ありがとう。どれにしようかな〜」

「あまり高すぎるのはやめてね」

「わかってるよ。3000円以内のにするから安心して」



無邪気に笑う沢村の口から可愛げのない値段が出た。


庶民の私への気遣いだったんだろう。それでも、限度額が桁外れ。
そこはせめて1000円台と言ってほしかった……。


予算オーバーしないかドキドキしていたけれど、選ばれたのは900円のチョコレート。

おかげでパーティー用のお菓子も無事購入できてホッとしたのだった。