真帆は、小学校時代とても目立つ女子だった。


父親は大学病院の教授をしていて、生活はかなり裕福そうで、いつも可愛らしく着飾った姿は同級生と比べても派手で。


本人もそれを鼻にかけ、子分と呼ばれる女子を引き連れて、それはまるで女王様気取り。


けれど、真帆と仲良くしていればいいことも多くあったようで、真帆を悪く言うやつは誰もいなかった。


小5の夏休み。


俺は家族旅行で出かけた先の旅館で、真帆の父親に遭遇した。


忙しかった真帆の父親も、運動会や参観日に時間を作っては、学校へ来ていたし、真帆もいつも「うちのお父さんはすごいんだよ」と自慢していたから知らない人はいなかったと思う。


真帆もこの旅館に泊まりに来ているのかと思ったが、連れていたのは若い女の人だった。