「ただいまー」


家に帰ると、お母さんがリビングの隣にある客間をせっせと掃除していた。


客間と言っても泊まりに来る人なんていないし、家族はリビングで過ごすから、今は荷物置き場みたいになっているんだけど……。


「掃除なんてしてどうしたの?」


カバンを肩にかけたまま顔をのぞかせると、ここでようやくお母さんは私が帰ってきたことに気づいたみたい。


「あら乃愛おかえり」


そう言いながらも、畳の上を水拭きする手を止めない。


山のようにあった荷物は、すっかりきれいに片付けられている。


あれがどこに行ったのかと思うと、ちょっと恐ろしいけど……。


「あのね、今度の月曜日から1ヶ月くらい、嶺亜の友達を預かることになったのよ」


「えっ!?」


なにそれっ! 聞いてないんだけど!