(保健室で見た夢のことを話したら、優子はなんて言うだろう……。

そんなのはただの夢だよって言ってくれる?

それとも、私の中に本当に浜中美澄がいるって思う?)


私がそんなことを考えながら、一年三組の教室に入っていくと、何故だか教室内が騒がしかった。


教室内でなにかが起きたみたいだけど、それがなにかはわからなかった。


私がそんな教室内を見てみると、あの木村菜々子の机を囲むようにクラスメイトが集まっていた。


私はその人だかりから少し離れたところに優子がいるのを見つけて、優子に近づき話しかけた。


「ねぇ、優子。

もしかして、なにかあったの?」


私のその言葉に優子がゆっくりと振り返った。


でも、私に目を向けた優子の表情にいつものような優しさはなかった。


「咲良。

体育の授業中なんだけど、ちゃんと保健室にいたよね」


優子のその言葉に、私はちょっとした疑いのニュアンスを感じていた。


だけど私はその理由がわからなくて、優子に普通に答えていた。


「体育の授業中は保健室で寝ていたよ。

体調は少し良くなったみたい。

だけど、どうして?」


「木村菜々子の制服がズタズタに切り裂かれて、机の上に置いてあったの。

咲良を疑っているわけじゃないけど、体育の授業中にこんなことができる人なんていないから」


私は優子の言葉に血の気が引いた。


優子はきっと私の中にいるかもしれない浜中美澄の存在を疑っているに違いなかった。


私は優子のそんな気持ちを敏感に感じていた。