真夜中のサイコパス

「咲良……。

この文章って、咲良が書いたわけじゃないよね」


「もちろん。

でも……、もしかしたら、私が書いているのかも……」


「えっ？

それって、どういうこと？」


「私が部屋で寝ているときに、誰かがその文章を書いて、私の机の上に置いていったの。

でも、その文章の内容って、里山高校の都市伝説そのままだよね。

あの日の夜、この教室であった出来事を知っているのは私と優子しかいないのに……。

だからさ、このノートにこんなことを書ける人は、誰もいないはずだよね」


私はまくし立てるようにそう言ってから、つぶやくように優子に言った。


「心当たりのあるたった一人を除いては……」


含みを持たせた私のその言い方に、優子はすぐに食いついてきた。


「咲良が言うそのたった一人の人って、いったい誰なの？」


「浜中美澄だよ……。

友達の朋子を殺して自殺した、あの浜中美澄だよ」


私が優子にそう言ったとき、優子は表情をこわばらせていた。


そして優子はなにかを言いたそうにしていたが、そのことを口にせずに目を伏せた。