「十五年前の午後七時に、美澄と朋子はここで会っていたんだね」


「長い時間が経っているけど、この教室にはまだ美澄と朋子の思いが残っているんだよ。

私たちは今からその微かに残る思いを元に美澄の幽霊を呼び出すの」


「本当に美澄の幽霊は出るのかなぁ?」


「私はきっと出ると思う。

美澄の幽霊の魂は、今でもこの教室をさまよっているはずだから……」


優子が真剣な声でそう言うと、この教室のどこかに美澄の幽霊がいるような気がして怖かった。


そして私は猟奇的な殺人を犯して、自らも命を絶った浜中美澄の気持ちを思った。


ものすごくかわいくて、里山高校のアイドルだった美澄は自分の人生がこんなにも転落していくことを想像していただろうか?


恋人も友達も未来も自信も失った美澄は自暴自棄になって、すべてをめちゃくちゃに壊してしまいたくなったのだろうか?