真夜中のサイコパス

人気者の朋子とも縁を切って、不幸なイメージがついている美澄には、いつの間にか友達が一人もいなくなっていた。


かつての明るい美澄にこの未来を教えたならば、きっと目を丸くして驚いていたに違いない。


友達がいなくなって、誰とも話さなくなった美澄は一人で考えごとをすることが多くなった。


たとえば、あの裏切り者の朋子が校舎の屋上から落ちて死んだらとか。

あの裏切り者の朋子が線路に落ちて電車にひかれたらとか。

あの裏切り者の朋子が通り魔に強姦されて殺されたらとか。


美澄にとって自分の幸せを願うより、朋子の不幸せを願った方が現実味があったし、そう願うことで病んでいる心が安らいだ。


朋子の不幸せは自分の幸せ。


美澄はそう思って、朋子の不幸だけを心から願っていた。


だけど、美澄のそんな願いがなかったかのように、朋子は変わらずにクラスの人気者だったし、あの横峯剛志との関係は良くなっていく一方だ。


いくら神様に願っても朋子に不幸せは訪れない。


だったら自分が神になろう。


自分はあの罪深き朋子に重い罰を与え、朋子の幸せを壊してやるのだ。


美澄はそう思い、剛志のフリをして朋子への手紙を書いた。


【大好きな朋子へ。

今日、オレから朋子に伝えたいことがある。

今日の午後七時、一年三組の教室に来て欲しい。

なにを話すかは内緒だけど、きっと朋子は驚くと思う。

絶対に忘れられない思い出を一緒に作ろう】