その日の美澄は朋子以外の誰とも話そうとしなかったし、一度も笑うことがなかった。


あんなに明るい性格だった美澄なのに、顔にできた火傷の跡は美澄から自信と明るさを奪ったのだ。


そしてそのことを敏感に感じ取ったクラスメイトたちは、美澄に聞こえないように美澄のウワサ話を始めていた。


あんなにひどい火傷の跡はヤバいとか、ちょっと前までは里山高校のアイドルだったのにとか、あんなに元気のない美澄を見たことないとか……。


学校内でキラキラと輝いていた存在が光をなくして、もう二度と輝きを取り戻さないだろうという確信にも似た予感。


そしてクラスにはそんな美澄に同情する人、哀れむ人、おもしろがる人が混在していた。


今までは美澄と仲良しであることがクラス内のステータスであったが、そんな雰囲気はもうなくなっていた。


浜中美澄はもう二度と学校のアイドルには戻れない。


それは言葉にしなくても、学校中の人がそう思っていた。